映画の感想『この世界の片隅に』を観て

この世界の片隅に』を観て


◆感想◆

絵がとてもほんわかとしていて日常感が優しい風合いで描かれていた。けれど、その日常の出来事は、戦争に振り回され、人の命が粗末に扱われた壮絶な内容だった。

明らかに危険な戦地へと、我が子を送り出さなければならない親の気持ちは想像するだけで悲しくなった。

姪の死は「生きていること」を悔やむほど悲しいもので、残された親はどこに怒りをぶつけたら良いのか分からず、罪のない人間を責める描写は痛々しかった。

また、敗戦を突き付けられた時、人の死が報われない現実が受け入れられずに泣き崩れる描写は、人間の不合理な弱さを表していて複雑な気持ちになった。

戦争が生活の一部として描かれていたので、抽象的な戦争の悲惨さだけではなく身近な人が死んでいくことの悲しみや、どうすることもできない虚しさが伝わってきた。

一人の人が経験した、当時の様子が分かるので、ぜひ沢山の人に観てほしいと思いました。おすすめの映画の一つです。