『大正女官、宮中語り』を読んで

著者の山口幸洋氏は静岡を中心に日本全国の方言を研究している方で昭和天皇のものの言い方のアクセントに興味を抱いていたという。そこに、地元の同級生が世話になっている坂東さんという方が大正天皇にお仕えした女官だったという話が舞い込む。もともと地元の噂程度には著者も聞いたことがあったが、御所ことばに心惹かれて聞き取り調査をする運びとなり、この本ができたようだ。

 

残念ながら、解説無しに読んでいるので理解ができない箇所も多く、宮中の生活の様子がありありと分かる!とまではいかなかった。けれど、手を洗ったら他のものを触ってはいけないしきたりがあったり、天皇に直接接見できる人とできない人で階級的役割がはっきりと別れていたこと、朝から晩まで休む間もなくお仕えしていた様子など、表に出てこないような宮中の生活ぶりが書かれていて面白かった。

 

格差はまだまだあるけれど制度化された階級分けのない今の時代からすると、宮中での生活は階級社会を極めに極めた生活で、誇りを持ってお仕えしてきた方や現在もお仕えされている方には申し訳ないけれど、謎ルールに支配されたおままごとゲームのようだなとも思ってしまった。だから昭和天皇の時代はそうなってしまったのか?

 

大正天皇は熱心に勉強される方だったようなので、大正天皇が好きだった作家とか映画とかがこれから明らかになるといいなぁ。


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