『じゅうぶん豊かで、貧しい社会』を読んで

欲について産業革命前から今を考察している本。

 

特に印象的だったのはケインズの主張。「食べるに困らない生活水準に達すれば、人は労働から解放され自由になれる」と産業革命前は本気で信じられていたのだ。生命の維持がそもそも大変だった時代からすると、今の日本はじゅうぶんに豊かだろう。けれど、現在、労働から解放されている人はどれほどいるだろうか。

 

一人ひとりの貯蓄がじゅうぶんに満たされれば、経済格差が生む不幸は無くなるはずだが、その「じゅうぶん」が欲望という無限のものである限り豊かさを手に入れることは難しいだろう。

 

「足るを知る」ことが幸せに生きる上で大切なのだと思い知らされる内容だった。