『ヒトラー 虚像の独裁者』著者:芝健介先生

発売された数日後に買って、少し読んで放置してしまった本の1つ。積読になっていたのを再び読み始めています。

 

まだ3割ほどしか読めていないのですが中間感想をまとめます。

 

【悪魔が産まれたわけじゃない】

反ユダヤ主義思想でおなじみのヒトラーについて、生い立ちから政権獲得までの彼の置かれた思想傾向がわかりやすくまとめられています。悪魔が最初から悪魔であったのではなく、ヒトラーの思想は病気の母親を最期まで診ていたユダヤ人の医者に感謝している時期もあり、初めから反ユダヤ主義思想を持っていた訳ではなく、軍に入隊した時の上司が反ユダヤ主義思想の持ち主だったが故に影響を受け、同僚とよりも上司との関係を取り持つ方が得意であった性格も作用し、排他的な思想を形成するのを容易にしていました。父親の暴力と母親の過保護な家庭環境や第一次世界大戦敗戦による不況のさなか解決されない生活苦へのフラストレーションが溜まっている世の中の風潮、身近にいる仕事仲間によって見いだされた弁士としての才能が作用しあい、最終的に政治的地位獲得にまで登りつめ最悪の目的の「貫徹」が実行に移されてしまったことがとても悲しい事実です。

そもそも、民主性や合法性を大切にしていたワイマール憲法下の政治であっても、権力掌握まで順風満帆とは到底言えないような政治的混乱のさなか反乱因子となりうるSAに対し手回しに手回しをし、身内の反乱に気を使いながら敵の敷地に入りこむ立ち振る舞いの上手さによって権力掌握を確実なものへと繋いでいったことは今の政治体制にも照らし合わせてしっかりと見ていく必要があるなと、統一教会と政治のズブズブ関係をリアルタイムで見ていて思っています。

放っておけば、最悪なことが偶然の積み重ねで起きてしまうんだと怖くなっています。