映画『ノクターナル・アニマルズ』の感想

【閲覧注意!ネタバレあります】

以下の感想にはネタバレ要素満載です。

自己責任でお読みください。

 

 

 

●映画の感想〜ノクターナル・アニマルズ

元夫から突然届いた、胸糞悪くなる事件を描いた小説。少し読んだだけでも気が滅入るけれど、それでも読み進めて結末を見届けたくなる内容。

元夫から送られてきた完成度の高いその小説を、自らの過去を振り返りながら最後まで読む元妻。

 

小説の残虐なストーリーと、売れない小説家の元夫を残酷な形で捨てた、過去の自分の過ちは、内容としては全く関連がないにもかかわらず、小説の中で痛め付けられる感覚が元夫を傷つけた過去とシンクロしていく。

 

小説を読み終え、小説家として輝きはじめた元夫と会う約束を取り交わす。しかし、約束の日に元夫は現れることはなかった。ここでの描写は、皆が死ぬこととなった小説の悲しい結末とも重なり、元夫の復讐は、虚しさを抱えながら静かに終わったことを表しているように思える。

 

後悔する女の欲深く汚い心境が、小説を通しサスペンス調の風刺画のように描かれており、妻の苦悩する姿は妙に綺麗で、後味の悪さが美しく描かれている映画だった。

 

おわり